店舗兼住宅でもローンは組めるのか?お得な組み方とは?
「店舗兼住宅」で「住宅ローン」は組めるのでしょうか?
結論からいえば、できます。ただし、住宅ローンで借りられるのは住宅部分だけ。
民間金融機関の住宅ローンや、住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で手がける「フラット35」は、住宅部分だけが対象です。
店舗部分は別途、事業用のローンを申請することになります。住宅ローンと事業ローンは金利が異なり、事業ローンの金利は、高く設定されています。
■店舗兼住宅のメリット
〇物件を別に借りるよりランニングコストが安い
店舗は自宅とは別の場所に借りるなり建てるなりするのが普通でしょう。この場合当然のことながら自宅とは別に、店舗についても賃料やローンがかかります。
また店舗を借りる場合、保証金は住宅を借りるよりも高額な場合が少なくありません。
出店場所や選ぶ物件によって、かかる費用は大きく異なるものの、店舗兼住宅にすればトータルコストは大きく削減できるのが普通です。
店舗の成功に大きく関わるのは固定費の大小です。店舗兼住宅にすることで固定費を大きく削減できれば事業の成功の確率は大きく上がります。
〇通勤時間がない
1階を店舗、2階以上を自宅とするなら通勤時間はわずか10秒!時間を有効に使えることは大きなメリットです。
店舗を始めた時はとにかく寝る暇が充分に取れないほど忙しいのが普通です。そのため通勤時間がほぼゼロになるというのは心と体への負担を大きく軽減します。
また、子育て中や自宅で介護中の方にとっては、家族のそばにいられるので安心といったメリットもあります。
〇店舗部分を賃貸にすれば家賃収入が得られる
店舗を始めたものの経営がうまくいかなかった、体調を崩した、などで閉店を決断することもあります。
こうなったときには店舗部分を賃貸にすることができます。店舗部分は収入を生む資産として活用できます。
〇水道光熱費・通信費が節約でき、節税にもなる
自宅と別の場所に店舗を構えると、電気代、水道代、ガス代、電話代、インターネット接続料金などがそれぞれ別にかかります。
しかし、一緒に店舗兼住宅にすればこれが一つになるので、経費の節約になります。
電気代や水道代、ガス代、電話代、インターネット接続料金は基本料金が1軒ごとにかかるので、これが半分になるということです。
また、これらは全て経費に算入することができるので、店舗で使った割合について税金の控除の対象になります。
例えばインターネット接続料金が、月間5,000円だった場合を想定しましょう。
店舗兼住宅にした場合に、店舗での使用割合を50%とすると、2,500円は税金の控除の対象になります。単に料金負担が半分になるだけでなく、節税の効果もあるのです。
〇住宅ローン控除の利用もできる
住宅部分については所定の条件を満たし、住宅ローンを借り入れた場合「住宅ローン控除」を利用できます。
これは年末のローン残高を元に、1年間で支払った所得税や場合によっては住民税の一部が戻ってくる制度です。住宅ローン控除で戻ってくる金額は大きいのでメリットが大きいです。詳細は後述します。
■ローンを組む際の注意点
〇店舗兼住宅であることを事前審査の段階で金融機関にあらかじめ伝えること
金融機関で借入相談をする際「どのみち、ローンを借りるのだから店舗の計画は伝える必要がないのでは」と、思う方もいるかもしれません。
しかし、 これは絶対にだめです。
仮に店舗と住宅を含めて全部で3,000万円借りるとしても、その一部は店舗なのですから、事業資金の扱いになるためローンの種類が異なってきます。
住宅の建築資金と違い、事業というものは失敗することがあるので、事業資金の融資はより条件が厳しいのです。
住宅ローンは融資がおりても、店舗部分に相当する建築費の借り入れができないということがありえます。そうなると店舗兼住宅の建築はできなくなってしまいます。
「建てようとしている建物は店舗兼住宅である」これを住宅ローンの申込のタイミングで金融機関に伝えておき、店舗部分の融資の確約も住宅ローンと合わせてもらっておく必要があるのです。
〇今まで事業収入があった場合は審査が通りやすいが、脱サラして店を始めるとなると、審査は厳しい
店舗部分の建築費を自己資金ではなく、借り入れたいと考えている場合の問題です。
住宅ローンだけでなく事業資金を借り入れするのですから、やはりこれまでの事業の実績がモノをいいます。
「現在すでに店舗や事務所があり、何年にもわたって安定的に事業を継続している。今回は自宅建築を機に店舗や事務所を同じ場所につくる」というのであれば、金融機関の審査は通りやすいでしょう。
しかし、現在はサラリーマンで、初めて事業を行うために店舗兼住宅を建築するという場合には融資が難しくなります。実績がないので、審査が厳しくなるのです。
綿密な事業計画を立てた上で、様々な金融機関に融資のお願いする必要がでてきます。事業資金分は借り入れではなく、預貯金などの自己資金をあてると融資が必要なくなるので楽になります。
この場合、当然借入額も少なくなるのでその後の資金繰りも楽になります。
〇事業用融資の方が金融機関にとって回収リスクが高いため金利が高くなる
店舗部分は、事業用ローンとして借りるので、住宅ローンに比べると金利が高くなります。
その理由として貸した先の事業が失敗したら、融資を回収できなくなる可能性があるからです。
住宅ローンは住むために貸すので、金利は低めに設定されています。また、事業用ローンに比べて、貸し倒れのリスクが低いことや、フラット35といった公的な資金供給もあり有利になっているのです。
〇店舗兼住宅は火災保険が高くなるので要注意 1.5倍程度になる可能性
店舗兼住宅は住宅だけの建物の場合と異なり、1.5倍から最大で2倍程度、火災保険料が高くなります。
火災保険料は所在地や建物構造、床面積などから算出されます。
住宅だけの場合が仮に30万円だとすると、店舗兼住宅では45万円から60万円程度かかります。火災保険はローンを組む際に必ず必要になるなので考慮に入れておきましょう。
〇住宅ローン控除は受けられるが条件に注意
店舗兼住宅でも住宅ローンが借りられれば、その部分は住宅ローン控除を受けられることを先ほどご紹介しました。
では、住宅ローン控除を受けるための条件をみていきましょう。
条件には「建物」「借入金」「人」3つがあります。
◇建物の条件
総延床面積(登記上)が50m2以上あること(2023年末までに建築確認を受ければ40m2以上50m2未満。ただし、その場合、所得要件は1000万円以下であること)
主たる住居であること(別荘や他人に貸す物件などではないこと)
◇借入金の条件
借入期間が10年以上の住宅ローンであること且つ、
◇人的要件
住宅を取得してから6カ月以内に居住し、その年の12月31日まで引き続き居住していること
などの条件があります。
■店舗兼住宅のお得なローンの組み方
〇店舗部分だけでも手持ち資金を用意する
住宅ローンの金利は、事業用ローンと比べるととても低くなっています。逆にいえば、事業用ローンの金利は非常に高いのです。
加えて、住宅部分には住宅ローン控除も利用できることから、できるだけ住宅ローンで借り入れるようにします。そして、店舗部分は手持ち資金で建築するようにしたほうが、利息を含めた総負担額を抑えられます。
〇様々な有利な事業融資を活用
しかし、店舗の建築資金がなく、借り入れせざるを得ないことがあります。
店舗兼住宅は住宅ローンと事業用ローンの二つを申し込むため、扱う金融機関が限られるうえ、手間がかかります。
◇地元の商工会議所や商工会
商工会議所は中小企業の支援のために税務や経営相談、IT化支援や国際的な対応まで、さまざまなバックアップを行う団体で、主に市に設置されています。
商工会とは、小規模事業者が集まってできた公的な団体で、主に町村部にあります。
おもに小規模事業者が多いことから、店舗兼住宅で営業している人も多いでしょう。
また、地域の商工業者と知り合うことで助け合いのネットワークに加わることができます。
〇金融機関によっては店舗部分も含めてローンを組める場合もある
店舗兼住宅のような小規模な店舗を運営する事業者に対しては、地元に密着した金融機関が親身になってくれる可能性が高いのです。
信用金庫や信用組合、農協、漁協など自分が居住するエリアにある、金融機関に相談してみましょう。
場合によっては店舗部分も含めて、ローンを組める場合があります。そして、融資を機によい関係を築けて、よいビジネスパートナーとなる可能性もあります。
〇床面積の2分の1以上が居住用の条件を満たさない場合
住宅部分が床面積の半分以上あれば、住宅部分には住宅ローンが利用でき、低い金利で建物を建てることができます。
しかし、店舗部分が床面積の半分以上になってしまう場合もあるかと思われます。こうなると住宅部分にも住宅ローンが利用できません。
登記とは土地や建物の持ち主が誰であるかを、登記簿という公開の書面に登録する制度です。
一般的には店舗兼住宅は単独登記といって、建物が一つという登記をするのが普通です。これに対して店舗と住宅を分けて登記すると「区分登記」といって二つの登記を行うことになります。
そのためには建物が「区分登記」できる間取りを考慮する必要があります。一級建築士や実際に登記を行う司法書士に相談してみましょう。自治体が無料で行っている「不動産相談」などで相談してみるのもよいでしょう。
■アキュラホームの店舗兼住宅について
アキュラホームは、強固な高耐力壁を使い、30坪の建物に30帖の広大な柱のない空間を実現することができます。
これにより開放感のあるデザインが可能になり、魅力ある店舗空間を実現することができるのです。
夏涼しく、冬暖かい空間の実現も快適さの条件でしょう。断熱性能等級も最高ランクの5を取得しています。冷暖房費を抑えながら、住まいも店舗も暮らしやすく使いやすい空間が実現します。
さらに、災害のことも考えておきましょう。
店舗兼住宅はとくに災害への備えが重要です。店舗兼住宅が被災すると、生活の場だけでなく、生活の糧となる収入も失われてしまうからです。
アキュラホームの大きな強みは地震に強い住宅ということです。実際に実物大の住宅をつくり、そこに震度6強から7程度の大地震を連続して起こし、建物が倒壊するかどうかを調べた実験を行っています。
デザイン性、耐震性といった店舗兼住宅に必要な要件を兼ね揃えたアキュラホームの技術。店舗兼住宅をご検討であればぜひ一度、お問合せください。