憧れの吹抜け!つくるべきか、やめるべきか…

吹き抜けとは上階と下階の天井を取り払い、空間を一体化した状態をいいます。

玄関ホールやリビングなどでよく用いられる建築手法です。 吹き抜けにはさまざまなメリット・デメリットがあります。順番に見ていきましょう。

こんなにある吹き抜けのメリット

〇開放的で広々とした空間になる

吹き抜けをつくる最大のメリットは、開放感を味わえることです。開放感を感じるのは、縦と横で構成される広さけでは足りません。開放感には高さが必要なのです。
室内が大きくなれば、広々とした感覚を味わえます 。
しかし、天井があると、少なからず圧迫感があります。天井のない吹き抜けの空間には、のびやかな感覚を覚えるでしょう。

〇採光に優れる

吹き抜けには2階部分に設けた窓から差し込む太陽の光を、1階まで取り入れられるメリットがあります。
周囲に建物が立ち並ぶ立地では、どうしても1階部分は暗くなりがち。
さらに、1階からすぐに隣の家の窓が見えるような環境なら、プライバシーが気になって、「ここに窓をつくりたくない」と思うかもしれません。こんなとき、吹き抜けを取り入れれば、これらの問題を解消できます。
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階部分に窓がつくれなくても、2階に窓を設置することで、1階に光が差し込みます。

〇2階にいる子供とコミュニケーションを取りやすくなる

1階から2階の音が聞こえるので、親が下の階にいるときでも2階の子供の気配を感じやすくなります。
話しかければ声が届くので、コミュニケーションを取りやすいメリットがあります。

〇家の中全体を空気が循環しやすい

1階と2階の空間が一体になっているので空気が循環しやすいです。空気の入れ替えをしたいときに、階段を往復して各階の窓を開ける手間がいらないです。

〇おしゃれなイメージになる

天井高のある吹き抜けは、見た目がおしゃれです。住宅の機能としては吹き抜けではなく部屋を一つ増やすほうが、空間を有効活用できて合理的。
しかし、あえて吹き抜けをつくることで、住まいにゆとりや余裕が生まれます。来客にも開放的で広々とした印象を与えることができるでしょう。

■吹抜けにはデメリットもある

〇2階が狭くなる

先ほども述べましたが2階の床面積が減ります。 空間の利用効率が下がるため土地面積の割に使える面積が少なくなります。
また、建築コストも床面積に対して割高になります。

〇吹き抜けの部分の窓ガラスの掃除や、電球の交換が難しい

2階部分にある窓や、1階から手が届かない場所に照明器具を設置している場合、自分で清掃や電球交換が難しい場合があります。
する際には、伸縮ワイパーなどを利用することになります。ただ、直接手で拭くのと異なり力が入りにくいため、汚れが落ちにくいかもしれません。
さらに、脚立を使って掃除をする場合は転落の危険があります。場合によっては、専門業者に依頼したほうが良いかもしれません。
照明については、近年では取り換えができないLED一体型が増えているため、寿命が来たら、照明そのものを取り替えることになるでしょう。
取り替えられるタイプでも取り替えられないタイプでも、「電気がつかなくなったらどうすればいいのか」は考えておく必要があります。

〇冷暖房の効率が悪くなる

暖かい空気は上部にたまり、冷たい空気は床下にたまります。そのため、吹き抜けがあることで冷暖房効率が悪くなってしまいます。
特に冬になると、暖かい空気が2階部分に留まります。これでは、1階のリビングが寒くなってしまいます。
これを避けるためには、天井にシーリングファンを設置して、常に空気を循環させて天井にたまりがちな暖かい空気を下に送るようにしたり、床暖房を設置して、1階の床を暖かくしたりする方法があります。

〇キッチンの臭いが家中に充満しやすくなる

さきほど、メリットとして「家の中全体を空気が循環しやすい」ことを挙げました。
これは逆に考えると「キッチンの臭いが吹き抜けを通じて家の中全体に充満しやすくなる」ことを意味します。
そして、2階の扉を閉めていない部屋に臭いが流れてしまいます。こうならないためには、キッチンの換気扇の換気量を大きめのタイプにしたり、2階部分の窓を開けられるような構造にしたりする必要があります。
また、吹き抜けを壁やドアでしっかり区切り、他の部屋に臭いが流れないような設計にする方法もあります。また、キッチンはリビングとつながらないクローズドタイプにする対策もあります。

〇家族のプライバシーを保ちにくい

家族の気配を感じられるのがメリットですが、反面、プライバシーを保ちにくいのが吹き抜けのデメリットです。
それぞれの家族の個室では、壁やドアに防音性能を高める材料を用いるなどの対策があります。吹き抜けから遠い位置に寝室をつくるなどの工夫もあります。

デメリットを緩和する方法・注意点

吹き抜けの位置が重要

吹き抜けには、ある程度の奥行きを必要とします。奥行きとは、外壁から部屋の奥までの距離です。これが大きいほど開放感を味わえます。
そこで、1階と2階部分の外壁は必ず地面から上部に向かって一直線にします。そして、ある程度、奥行きのある吹き抜けにしましょう。
ここで注意したいのは、開放感を最大限に引き出すために、2階部分にバルコニーや部屋の一部を外側に張り出さないということです。
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階の室内から見ると、張り出したバルコニーや部屋の天井の一部が圧迫感を与えてしまいます。
また、張り出した部分が太陽光をさえぎってしまい、室内に日光が入る時間を減らしてしまいます。
さらに窓と部屋の奥までの壁、つまり奥行きが短いと、吹き抜けによる開放感が半減するだけでなく、部屋全体に十分な明かりが入らなくなってしまいます。

〇吹き抜けをつくる場合は断熱性能がしっかり確保すること

吹き抜けのある空間は、冷暖房のエネルギーが多く必要です。そのため吹き抜けのない住宅より高い断熱性能が求められます。
建物の断熱性能は等級で表されます。断熱性能はこれまで等級14までで、数値が高いほうが、断熱性能は優れています。
そして、2022年には更に上の等級である5~7が定められました。

▼住宅性能表示の見直し

参照:YKK AP

〇玄関の吹き抜けはおすすめできない

玄関ドアを開けた瞬間に吹き抜けが目に入ってくるとダイナミックな印象を与えます。
しかし、玄関はドアを開けた瞬間に外からの空気が入り込むため最も寒くなりやすい場所です。そのためできれば 玄関に吹き抜けをつくることは避けたほうがよいでしょう。
どうしてもつくりたい場合は、玄関を他の空間とドアで区切って直接外気が室内に入り込まないようなプランが必要になります。もちろん、さきほども述べたような断熱性能の高い住まいにするというのも必須です。

照明に要注意

吹き抜けを導入する場合に、注意したいのが照明の計画です。高い天井に設置すると、思ったほどの明るさは得られないかもしれません。
かといって数多くの照明を設置すると電気代もかかります。照明の計画は十分に練る必要があります。
一部を天井から吊り下げるペンダントタイプにしたり、間接照明を使ったりして必要な明るさを確保できるようにします。
照明の位置によって配線計画も異なりますので、設計担当者とよく話し合って計画を立てましょう。

■まとめ

アキュラホームは、断熱性能が非常に高い住宅を提供しているため、これまで述べてきたような吹き抜けで起こりがちなデメリットを大きく軽減し、メリットを最大限に享受できる住まいを実現します。

設計段階では施主様のご要望を形にして、暮らしやすさとともにご提案しています。

吹き抜けをはじめとする素敵な住まいをつくりたいとお考えでしたら、ぜひ一度展示場をご覧ください。