オール電化住宅が普及した理由・住みやすさ・経済性とは?

オール電化住宅とは

オール電化住宅は、文字どおり、給湯や調理、空調などすべてのエネルギー源を電気でまかなう住宅のことです。
火を使わないので安心・安全、お手入れもしやすく、小さなお子さまのいる家庭や高齢者世帯にも人気の住宅です。

オール電化住宅にはほぼメリットしかない!その理由とは?

住宅の高断熱・高気密化が進む中、屋内で高温の燃焼ガスを発生させないことや火を使わないことから、オール電化住宅は安全でクリーンな住宅として2000年代から広まりました。
オール電化の住宅は、電気・ガスを併用する住宅とどのような点が違い、魅力なのでしょうか。その具体的なメリットをみていきましょう。

経済的:給湯にかかる光熱費が圧倒的に安い

オール電化の導入にあたり、やっぱり気になるのは「電気代は安くなるのか」という点でしょう。
結論からいえば、ガス代がかからなくなる一方、ガスでまかなっていた分のエネルギーも電気でまかなうことになるため、当然、電気代自体はそれほど安くはなりません。
しかし、オール電化住宅ではガスを使用しないため、基本使用料がかかるのは電気のみになります。
ガスの基本料金がいらなくなることが、第一の分かりやすい経済的メリットです。
さて、ここで注目したい点が下のグラフが示すように家庭でのエネルギー消費のうち、給湯の占める割合です。
全体の約1/4以上という大きな割合になっています。実は、給湯器は住宅で最もエネルギーを消費する機器であり、光熱費を左右する最重要ポイントとなります。

出典:一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター

〇エコキュートによる給湯の経済性が優れている4つの理由

オール電化では、ガスの湯沸し器に代わって専用の設備としてエコキュートを使用することになります。
以前は、熱源にヒーターを使用する電気温水器(給湯器)が主流でしたが、熱源にヒートポンプを使うエコキュートの方が圧倒的に熱効率がよいため、
オール電化の給湯器といえばエコキュートが定番になっています。
このエコキュートを使用していることがオール電化住宅の経済性の最大の理由です。
では,なぜエコキュートは経済的なのでしょうか。その理由は4つあります。

1)安い夜間電力を活用できる

エコキュートの特徴は、夜間に沸かしたお湯の熱を貯めておくことができる点です。エコキュートは安い夜間電力を活用することで、光熱費の節減効果が期待できるのです。
多くの電力会社では夜間の電気料金は昼間よりもおトクに設定されています。これは、電力使用量が多い昼間の供給電力が不足しないよう、料金単価を下げて夜間の利用を促進しようというものです。
エコキュートは、そんな夜間の時間帯にお湯を沸かして貯めておき、翌日に使う仕組みになっています。下のグラフのような電気代が安くなる夜間のうちにお湯を沸かして貯め、それを日中に使うことで光熱費を大きく抑えるのです。
また、エコキュートで給湯した際の熱を床暖房に利用すると、エネルギー消費量の大きい暖房費の効果的な節約につながります。
電力を効率良く分散させて活用することにより、光熱費を抑えられるのです。こういったことを頭に入れたうえで、電力会社ごとのおトクな電気料金プランの中から、家庭に合ったプランを検討してみると良いでしょう。

出典:東京電力エナジーパートナー

電力の消費量が大幅に抑えられるエコキュート
エコキュートでは、空気中の熱をポンプのように汲み上げて、必要な場所に移動させるヒートポンプ技術を利用しています。
空気中の熱を取り込んで効率よくお湯を沸かすため、下のグラフのように電力の消費量が大幅に抑えられるのがメリットです。
下記の「年間のコンロの光熱費の試算」のとおり、ガスコンロと比べると調理のためのIHクッキングヒーターはやや電気代が高く不利になりますが、エネルギーを多く使う給湯では圧倒的に有利となります。また、エコキュートはCO2の排出量も大幅に削減します。このように時代のニーズに応えた家計にも地球にも優しい給湯器なのです。

出典:ダイキン

年間のコンロの光熱費の試算
IH
クッキングヒーター:年間約12,240円  ガスコンロ:年間約9,282

出典:All About

2)安全性が高い家になる

ガスの使用は、鍋を火にかけたまま外出してしまったり、着衣の袖に不意に燃え移ったりなど、リスクや不安がともないます。
オール電化の調理で使用する火を使わないIHクッキングヒーターなら、火災やガス漏れなど思わぬ事故につながる心配がありません。これはご高齢の方や小さなお子さまのいる家庭では特にメリットといえます。
また、オール電化住宅の場合、火災保険が割引になることも多く、保険料の節約にもつながります。

3)快適性が高まる

ガスコンロの火は鍋やフライパンを温めるだけでなく、同時に周囲の空気も温めてしまいます。
IH
クッキングヒーターの場合は、内部のコイルに電流が流れることによって鍋自体を発熱させる仕組みで、
外部に熱を逃さないので周囲の温度はほとんど影響を受けません。夏場でも台所が暑くならず、汗をかきながらフライパンを振ることはなくなることでしょう。

4)清潔で家事時短にも優れる

IHクッキングヒーターにはその他にもさまざまな魅力があります。IHは炎がでないため、鍋底のススやガス燃焼によるにおいも空気の汚れもありません。
天井や壁・換気扇も汚れにくく、清潔でクリーンなキッチンを保ちやすくなります。また、調理後のガスコンロ周りの掃除は手間がかかり面倒なものですが、
IHは凹凸のないガラスの天板、トッププレートがフラットなため、油汚れも吹きこぼれも、さっと拭きとるだけです。お手入れが簡単というのは家事時短にもつながる大きなメリットいえます。

それでもあるデメリットとは

良いことばかりのオール電化住宅ですが、デメリットもなくはありません。このデメリットは軽減することができるので、軽減策もあわせて説明します。

初期費用が多くかかる

オール電化専用の設備としてIHクッキングヒーターやエコキュートを設置した場合、ガスコンロやガス給湯器よりも初期費用は多くかかります。
どれくらい多くかかるかは後述しますが、ランニングコストを考慮すれば通常は10年以内で元は取れます。

日中に電気を多く使うと光熱費が高くなる

先述したとおり、エコキュートを前提とした電気料金プランは昼間の電気代は割高になっています。
光熱費をできるだけ抑えたいなら、日中のエアコンの使用には気をつけたいものです。

太陽光発電を併用すると日中の光熱費が高いデメリットがなくなる

オール電化と同時に太陽光発電システムも導入すれば、日中の電気を電力会社から買う必要がなくなります。
太陽光発電は日中発電するため、オール電化の電気代が一番割高な日中の電気を自家発電で補うことができるからです。
さらに節電できるだけでなく、太陽光発電とセットにすると、CO2をさらに削減できる環境面でのプラスもあります。

冬場の日中の暖房は灯油ファンヒーターを併用することで軽減

暖房費がどうしても気になる方は、灯油ファンヒーターを活用することも考えてもよいでしょう。
使用時には電気も使いますが、エアコンと比べると電気消費量は一桁少なくて済みます。

オール電化に関する誤解とギモン

IHは火力が弱いのでは?

IHをよく知らない方には加熱が弱く調理時間も長いイメージがあるようですが、そんなことは全くありません。
また、単身者用の賃貸物件で使用されているIHは火力が弱いものが多いので、もうIHはコリゴリだと思っている方もいるかも知れません。
しかし、通常の家庭に設置される200V電源を使用したIHの火力は、ガスコンロの火力を大きく上回るのが普通です。
初めてIHを使ってお湯を沸かしてみると、スイッチを入れた次の瞬間に鍋底から沸騰した気泡が出てくるのに驚くかもしれません。
ガスコンロで加熱した場合、ほとんどの熱は周りに逃げてしまい、熱効率は約4055%といわれています。一方、直接加熱をするIHの熱効率はなんと約90%と、ガスの約2倍もの優れた熱効率となります。
つまり、3kwIH6kwのガスコンロに相当するということです。
一般的な家庭用のガスコンロはだいたい高火力バーナーで3.6kwなので、これをはるかに上回る火力なのです。野菜炒めなんかでも、サッとシャキッと仕上がりますし、時短にもなります。

〇ガスオーブンじゃないと火力がモノ足りない?

オーブンレンジには、電気の力で加熱する電気オーブンと、ガスの力で加熱するガスオーブンの2種類があります。
電気オーブンは一般的にはガスオーブンに比べ火力は劣りますが、その分食品にゆっくりと熱を回らせることができます。また、200Vの電気オーブンであれば、ガスと同等の高火力を誇る製品もあります。火力にこだわる方は検討してみると良いでしょう。

〇冬の停電時に部屋を温められなくなる?

停電が起こった際は住戸内のあらゆる設備が機能しなくなります。
そもそも一般的なガスファンヒーターも電気を必要とするために、停電時は稼働しません。
厳しい寒さでの暖をとる手段が心配であれば灯油ストーブを用意しておくとよいでしょう。また、電力不足や災害による停電への懸念が高まる昨今では、電気を使わない暖房器具もありますのでチェックしておきたいものです。

〇電気だけだと、災害時は不安?

大きな地震災害では、一般的に地下に埋設されている水道管やガス管、通信ケーブル、地上に設置されている電柱・電線などもダメージを受けてしまいます。
ほとんどの電気設備は地上に露出しているため、地中にあることで確認や作業に日数がかかるガス配管に比べると、復旧が早くなる傾向があります。ライフラインとしての復旧するのが早い順番は電気>水道>ガスなのです。では、電気が復旧するまでの対策として備えておきたいものとしては、何かと重宝な煮炊き用としてカセットコンロと燃料となるカセットボンベを用意しておくことをお勧めします。

〇初期費用に大きな差がある?

IH+エコキュートVSガスコンロ+ガス給湯器では、40万円程の差が出るがオール電化の導入にかかる費用の相場はどれくらいになるのでしょうか。
IHクッキングヒーターとエコキュートを設置した場合、機種にもよりますが、約60万円程度(工事費込み)です。
導入費用が20万円程度(工事費込み)のガス給湯器と比較すると、オール電化の初期費用が高く感じられるかもしれません。
ただ新築時にオール電化を導入することで、ガス管の配管費用(約12万円程)も節減できるので、イニシャルコストにそこまで大きく差が開くことはないと思われますが、いかがでしょうか。

・同じ利用量ならコスパはどうなる?
エコキュートはエネルギーの消費効率が非常に高いので、給湯にかかる費用がガス給湯器の約5分の1という低コスト。
たとえば都市ガスを熱源としたガス給湯器を利用すると、月平均の給湯費は6,000円程度です。それ対して、電気を熱源としたエコキュートなら、月平均の給湯費はガス給湯器の約5分の11,000円台で済むことになり、同じ利用量でも、ガスとエコキュートではコストに大きな差が生じます。

・中期的なランニングコストでお得?
また、今まで電気代とガス代それぞれの基本料金を払っていた場合、オール電化にすれば、ガスの基本料金が毎月浮くことになり、家計の負担を減らすことにつながります。都市ガスの基本料金は、全国平均で900円前後。都市ガスを利用している方がオール電化に乗り換えると、基本料不要のおかげで年間10,800円のコストダウンに。
さらに、今までの給湯費がオール電化導入によって月々約5,000円減るため、給湯費は年間60,000円の減額ができる計算になります。10年程のランニングコストを見ると、結果的にはエコキュートがかなりの節約になると、おわかりいただけるかと思います。

まとめ

オール電化住宅にはさまざまな魅力、住みやすさがあることが分かりました。

アキュラホームでは、オール電化住宅はもちろん、それぞれのご家族が思い描く理想の住まいをカタチにします。

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