長期優良住宅とは何?認定条件やメリット、注意点を解説

新築住宅を建てるとき、長期優良住宅という言葉を耳にするケースは多いのではないでしょうか。長期優良住宅と聞くと、高品質な住宅というイメージは浮かぶものの、具体的な内容までは把握できていないという声も少なくありません。本記事では、長期優良住宅とはどのようなものなのかについて、認定条件やメリット、注意点などを押さえながら、徹底解説していきます。
長期優良住宅とは何か
長期優良住宅とは、安心かつ快適に、長期にわたって住み続けることができる住宅のことを言います。
長期優良住宅として認定されるためには一定の基準が設けられており、すべての項目において基準を満たすことが必要です。具体的には、耐震性などの構造そのものの強さのほかに、省エネ性や居住環境に対する配慮、住宅の面積に関する基準なども定められています。
このように細かい基準を多数設けることで、居住者が安心かつ快適な状態を保って長く住める住宅を建てるというのが、長期優良住宅の大きな目的となっています。
長期優良住宅の認定条件
長期優良住宅には、以下の10項目の認定条件が定められています。
- 劣化対策
- 耐震性
- 省エネルギー性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性
- バリアフリー性
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
- 災害への配慮
これらの条件をすべてクリアしなければ、長期優良住宅としての認定が受けられません。そのため、まずはこれらの条件について具体的にどのような内容の定めとなっているのか、理解しておくことが重要です。
ここでは、長期優良住宅における10項目の認定条件について、1つずつ詳しく解説していきます。なお、戸建住宅と共同住宅では異なる適用要件もあるので、その点についても注意しながら見ていきましょう。
①劣化対策
長期優良住宅の認定を受けるには、十分な劣化対策が取られていることが必要条件とされています。ここで重要なのは、数世代にわたって利用可能な構造躯体となっているかどうかという点です。具体的には、最低でも3世代以上にわたって住宅の利用を継続できる状態が求められ、構造の種類に応じた劣化対策が必要となります。
木造住宅の場合は、床下に十分な高さの空間を設けることや、床下および小屋裏に点検口を設けるなどの劣化対策が講じられます。鉄骨造の場合は、柱や筋交い、梁などに対し、厚みに応じて適切な防錆措置を施すといった劣化対策が必要です。また、鉄筋コンクリート造の場合は、かぶり厚さを増やしたり、水セメント比を減らしたりすることで劣化対策を講じます。
②耐震性
安心して長期間にわたって住むことができる住宅にする必要があるため、耐震性に関する基準も設けられています。数百年に1度発生する程度の極めて稀な大地震が起こっても、住宅の損傷レベルを可能な限り軽減できる措置を施すといった内容です。
具体的な基準としては、大きく3つの項目が定められており、いずれか1つの項目を満たさなければなりません。1つ目は、耐震等級2以上にすること、2つ目は、耐震等級1で安全限界時における各階の変形角が1/100以下であること(木造の場合は1/40以下)、3つ目は、品確法において定められている免震建築物とすることです。
以上の3つの項目のうちいずれか1つをクリアしていることが、長期優良住宅における耐震性の確保に必要な条件となります。
③省エネルギー性
断熱性などをはじめとする省エネルギー性も、長期優良住宅の認定における重要な条件の1つです。満たすべき具体的な基準は、省エネ法で定められている次世代省エネルギー基準に則り、決められています。
たとえば、UA値や結露対策などによって高めることができる断熱性能等級を5以上にすることや、一次エネルギー消費量等級を6にすることなどが必要です。
省エネルギー性の基準を設けることで、単に建物そのものが丈夫で長持ちするというだけでなく、安心かつ快適な暮らしを持続できるという、長期優良住宅の持つ目的の達成にもつながっています。
④維持管理・更新の容易性
長く安全に住み続けられる住宅にするためには、住宅設備の維持管理や更新が容易に行えることも非常に重要であるため、この点についても長期優良住宅の認定条件の1つとして盛り込まれています。
ここで重要視されるのは、構造躯体ではなく、主に配管などの内装設備です。内装設備は、住宅そのものの構造躯体に比べて劣化が進みやすく、定期的な点検や補修、更新が必要とされます。そのため、このような維持管理を容易に行えるための措置を取らなければなりません。
具体的な基準としては、戸建住宅の場合は配管の維持管理対策等級3、共同住宅の場合は専用配管と共同部配管の両方において維持管理対策等級3とする措置が必要です。
⑤可変性
共同住宅にのみ定められている条件の1つに、可変性という基準があります。この基準では、ライフスタイルの変化に対応できるよう、将来的に間取りの変更ができるような措置を取ることが求められています。
たとえば、壁を後から取り付けて部屋数を増やしたり、壁の位置を移動させて部屋の配置を変えたりすることができるような設計にするといったイメージです。
なお、可変性の条件は共同住宅のみを対象とするものであるため、戸建住宅では適用されません。
⑥バリアフリー性
共同住宅にのみ定められている条件として、バリアフリー性という基準もあります。この基準では、将来的な必要に応じてバリアフリー改修工事が行えるよう、必要な措置を取っておくことが求められています。
具体的な内容としては、共用廊下部分に十分なスペースを確保し、バリアフリー改修工事に対応できるようにしておかなければならず、共用部分における高齢者等配慮対策等級3を満たすことが必要です。
なお、こちらも共同住宅のみを対象とする条件であるため、戸建住宅への適用はありません。
⑦居住環境
長期優良住宅の認定では、良好な居住環境を守ることも重視しており、地域の景観を維持し向上させるための配慮も必要とされています。居住環境に関する条件を設けることで、地域の景観を損ねることなく、新たな住宅が自然と周囲の環境へと溶け込み、地域全体の景観を向上させることへとつながります。
住宅を建てる地域において、景観に関する計画や協定などが定められている場合は、それらの内容に調和するよう努めなければなりません。ただし、景観に関する計画や協定などは、それぞれの地域によって異なります。そのため、所管の行政庁にて、どのような計画や協定が定められているのか、事前に確認することが必要です。
⑧住戸面積
快適に住み続けるためには、適した住戸面積であることも重要であり、長期優良住宅の認定基準の1つとして設定されています。
戸建住宅の場合は床面積が75㎡以上、共同住宅の場合は45㎡以上でなければならず、これらを下回ってはなりません。さらに、2階以上の住宅である場合は、1つの階ごとの床面積にも最低基準が設けられています。この場合は、階段部分を除き各階が40㎡以上の床面積であることが必要です。
⑨維持保全計画
住宅を良好な状態で保つためには、維持保全計画を策定することも必要であり、長期優良住宅の認定条件とされています。
維持保全計画とは、住宅を建築する時点で策定する、将来を見据えた点検や補修などの具体的な計画のことです。計画の内容としては、以下の3つの箇所を点検等の対象として盛り込まなければなりません。
- 構造耐力上主要な部分
- 雨水の侵入を防ぐ部分
- 給水や排水のための設備
上記3つの部分については、必ず将来における定期的な点検や補修の計画を策定しておく必要があります。
⑩災害への配慮
長期優良住宅では、災害時における被害を防止し軽減するための配慮についても、認定条件として定められています。
地震や台風、洪水などの自然災害は、いつ発生するか分かりません。そのため、住宅を建築する時点で自然災害に備え、被害を防止したり、被害を最小限に軽減させたりする措置を取ることが必要です。
具体的にどのような措置を取るべきかどうかという内容は、地域によって異なります。詳しい措置の取り方については、所管の行政庁にて災害リスクを確認し、立地ごとに適切な措置を取るべきと言えるでしょう。
長期優良住宅の認定手続きの流れ
ここでは、長期優良住宅の認定手続きの流れについて、詳しく解説していきます。認定申請から工事完了までの大まかな流れは、以下の4つのステップに分けられます。
- 必要書類の準備
- 性能評価機関への申請
- 所管行政庁への認定申請
- 工事完了の報告
長期優良住宅の認定手続きにおける申請者は、建築主または分譲事業者です。ただし、実際に申請手続きを行う際には、非常に専門的な知識が必要とされることから、住宅の施工業者が手続きを代行するケースが一般的となっています。
①必要書類の準備
まずは、必要書類を準備することから始めます。長期優良住宅の認定手続きにおける必要書類は、3種類あります。
1つ目は、確認書等です。確認書は、次のステップで性能評価機関へ申請すると交付されるものなので、初めは確認申請書を準備しておきます。
2つ目は、認定申請書です。認定申請書は、住宅を建てる所管の行政庁にて受け取ることができます。
3つ目は、添付図書です。添付図書は、住宅の設計内容説明書や、間取り図などの各種図面が必要となります。
②性能評価機関への申請
次に、性能評価機関への申請を行います。性能評価機関では、建築される予定の住宅が、実際に長期にわたって利用し続けることが可能な構造になっているかどうかを見極めるための技術審査が行われます。
審査を経て、一定の基準をクリアしていることが認められると、申請者のもとへ確認書が交付されます。
なお、技術審査の申請先となる性能評価機関を調べるには、一般社団法人住宅性能評価・表示協会のホームページから検索が可能です。
③所管行政庁への認定申請
性能評価機関での技術審査を受け、確認書の交付を受けたら、実際に所管行政庁への認定申請を行います。認定申請では、性能評価機関から交付された確認書と、認定申請書、添付図書をすべて揃えて提出します。
認定申請を行うと、所管行政庁にて長期優良住宅の基準に適合しているかどうかの審査が行われます。複数ある基準のすべてを満たしていることが確認されたら、申請者のもとへ認定通知書が交付されます。
認定通知書が交付された時点で、長期優良住宅として認められたということになります。
④工事完了の報告
認定通知書が交付されると、長期優良住宅として認められますが、認定通知書を受け取って終わりではありません。実際に長期優良住宅を建築した際は、工事完了の旨を所管の行政庁に対して報告する必要があります。
また、工事完了の報告を行ったあとは、策定した維持保全計画を必ず保管しなければなりません。維持保全計画は、住宅の竣工後にも活用します。たとえば、維持保全計画に則り、実際に補修工事や点検作業を行う際に必要です。そのため、工事完了の報告が終わったあとにも維持保全計画の保管義務があるということをきちんと理解し、大切に保管するようにしましょう。
長期優良住宅のメリット
ここでは、長期優良住宅のメリットについて、詳しく解説していきます。長期優良住宅の主なメリットは、以下の通り3つあります。
- 住宅ローン控除の優遇
- 税金の軽減措置
- 宅ローン金利の引き下げ
このように、長期優良住宅の認定を受けると、住宅ローンや税金などの金銭面においてメリットが得られます。具体的にどのようなメリットなのか、1つずつ詳しく見ていきましょう。
住宅ローン控除の優遇
長期優良住宅にすることで得られる大きなメリットの1つが、住宅ローン控除において優遇措置が受けられるという点です。
まず、住宅ローン控除を受けられる限度額が、長期優良住宅に認定されることで優遇されます。長期優良住宅の認定を受けていない一般住宅の場合、住宅ローン控除の対象となる限度額は、ZEH水準の場合で3,500万円、省エネ基準適合住宅の場合で3,000万円です。これらに対し、長期優良住宅の場合、住宅ローン控除の対象となる限度額は4,500万円と定められているので、大幅に優遇されていることが分かるでしょう。
また、住宅ローン控除額についても優遇され、最長で13年間にわたり、残高に対して0.7%の控除率で控除を受けられます。13年間分の最大控除額を計算すると455万円になり、一般住宅に比べて約45万円、お得になります。
税金の軽減措置
長期優良住宅の認定を受けると、各種税金の軽減措置を受けられるというメリットもあります。軽減措置を受けられる主な税金としては、不動産取得税、固定資産税、登録免許税の3つが挙げられます。
それぞれ具体的にどのような内容の軽減措置が受けられるのか、以下の表に沿って確認していきましょう。
| 建築期限 | 軽減措置の内容 | |
|---|---|---|
| 不動産取得税 | 2026年3月31日まで | 課税標準額から控除される金額が変わる 一般住宅:1,200万円 長期優良住宅:1,300万円 |
| 固定資産税 | 2026年3月31日まで | 税額が1/2に減額される期間が延びる <戸建の場合> 一般住宅:3年間 長期優良住宅:5年間 <マンションの場合> 一般住宅:5年間 長期優良住宅:7年間 |
| 登録免許税 | 2027年3月31日まで | 税率が引き下げられる <保存登記> 一般住宅:0.15% 長期優良住宅:0.1% <移転登記・戸建の場合> 一般住宅:0.3% 長期優良住宅:0.2% <移転登記・マンションの場合> 一般住宅:0.3% 長期優良住宅:0.1% |
このように、各種税金においてそれぞれ軽減措置が受けられ、税負担が軽くなります。
住宅ローン金利の引き下げ
長期優良住宅では、住宅ローンの金利が引き下げられる可能性があるので、こちらも大きなメリットの1つと言えるでしょう。
フラット35Sを利用した場合、初めの5年間に限り、金利が0.75%引き下げられます。
仮に、フラット35の住宅ローンで4,500万円の借入をした場合で考えると、当初5年間における毎月の返済額は、一般住宅の場合に比べて1.6万円程度抑えられます。また、総返済額としては、180万円程度抑えられます。
このように、住宅ローン金利においても大きな軽減効果が得られるので、長期優良住宅にするメリットをより強く感じられるでしょう。
長期優良住宅のデメリット
長期優良住宅には、いろいろなメリットがある一方で、デメリットと言える点もあります。ここでは、以下の通り主な3つのデメリットを挙げ、解説していきます。
- 申請手続きの負担
- 建築コストの増加
- 維持保全の義務
長期優良住宅は、認定を受けるための手続きを行う際に負担がかかってしまう点や、高品質な住宅にするために建築コストが高くかかってしまう点、住宅の完成後にも維持保全の義務が続く点などが挙げられます。それぞれのデメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。
申請手続きの負担
長期優良住宅では、申請手続きの負担がかかってしまうという点が、1つのデメリットとして挙げられます。
長期優良住宅の認定申請では、やや複雑で専門的な手続きが必要となるため、手間や時間がかかってしまい、負担を感じる人も多いでしょう。また、申請時にかかる手数料や、書類作成および省エネ計算の代行費用など、金銭的な負担がかかってしまうことも理解しておかなければなりません。
このように、長期優良住宅にするための申請手続きを行うにあたってかかる負担が、大きなデメリットと感じてしまうケースはよくあります。
建築コストの増加
長期優良住宅は、高品質な設備を必要とすることから、どうしても一般住宅に比べて建築コストが高くなってしまいます。そのため、建築コストの増加が、デメリットの1つとなってしまうケースも少なくありません。
長期優良住宅の認定基準を満たすためには、一般住宅の場合に比べておよそ1.2〜1.3倍の建築コストがかかってきます。
もちろん、前述したように、長期優良住宅にすることで住宅ローン返済額や税金の負担が軽減するという措置もあるため、一概に金銭面においてデメリットが大きいということではありません。
建築コストの増加に対して、住宅ローンや税金の負担軽減措置がどの程度の効果を発揮するか、事前によく調査しておくことが重要です。
維持保全の義務
長期優良住宅を建てた場合、維持保全の義務を負わなければなりません。一般住宅とは別の義務が発生するため、負担に感じてしまう人も多いでしょう。
長期優良住宅では、30年以上の維持保全期間があり、10年以内ごとの点検義務が発生します。
維持保全義務は、住宅を良好な状態に保つために必要とされており、点検などを行うにあたって住宅履歴情報を整備し、記録をきちんと保存していかなければなりません。また、認定の際に交付された認定通知書や、住宅の構造や設備が分かる設計図書などにも、保管義務があります。
このような、住宅に関する細かい情報や記録の管理に負担を感じてしまう人にとっては、デメリットを強く感じてしまう可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
本記事では、長期優良住宅について、認定条件や申請手続きの方法、メリット、デメリットなどを徹底解説してきました。
長期優良住宅には10項目の認定条件があり、それらを満たした場合、申請手続きを行うことで認定されます。また、戸建や共同住宅などによって認定条件が異なったり、地域によって申請手続きの方法が異なったりする場合があるので、実際に長期優良住宅の認定を受ける際は注意しましょう。
また、長期優良住宅には、メリットとデメリットの両方があります。そのため、長期優良住宅を検討する際は、メリットとデメリットの両方についてきちんと理解を深めておくことが非常に重要です。
今後長期優良住宅を建てる可能性のある人は、ぜひ本記事を参考に改めてよく検討してみてください。
<参考記事 >