Vol.8 照明の話

10月21日は「あかりの日」
はじめに電球の歴史を紐解いて見ましょう。1879年10月21日、トーマス・エジソンが、世界ではじめて実用的な白熱電球を開発(発明は同年2月にイギリスのスワン)しました。これを記念して10月21日は「あかりの日」と定められています。しかし、この電球のフィラメントはわずか45時間の寿命しかなく、エジソンはその後も実験を続けた結果、竹がフィラメントに適していることを発見しました。当時の金額で10万ドルをかけ、20人のバンブーハンターを全世界へ派遣。翌年、その一人が日本の京都八幡付近の竹にたどり着いたのです。この竹を炭化させたフィラメントは2450時間も灯り続けたそうで、1894年までエジソンの白熱電球に使われ、世界中に何百万個も輸出されました。ちなみに、この白熱電球を販売するために設立したエジソン電灯会社が、現在のGE社の前身です。
明るさの単位はルクス
白熱電球の明るさをよくワット(W)数で表しますが、ワットは本来消費電力を表す単位。照明器具の明るさ=照度は、単位面積あたりに受ける光の束を計り、ルクス(lx)という単位で表します。たとえば、晴天の日向の照度は10万lx。JIS基準では裁縫などの細かい手作業には750~2000lx、読書には300~700lx、団らんなどには150~300lxが適しているとされています。
ところで、ご存知のように視力は年齢とともに衰えます。照度が足りないと目が疲れ、肩こりなどの原因になりますから、ご年配の方がいるご家庭では照明に十分な配慮が必要です。とくに細かな作業をする場合、60歳には20歳の3.2倍、40歳でも1.8倍の照度が必要といわれています。しかしながら1つの照明だけでこの照度を得ようとすると、まぶしく感じることがあります。スタンドなどの補助照明を組み合わせ、個別に調節しましょう。また、調光器等を利用するのも便利な方法です。
2500lx以上の光で脳は覚醒
2500lx以上の照明を浴びると、人間の脳は覚醒し、活動的になることがわかっています。ですから、目覚めの悪い人は、出勤前にトイレや玄関などで強い照明を浴びると、しゃきっとする効果が期待できます。受験勉強で眠くなったときにも、強い照明をうまく使えば、集中力を回復させることができます。 一方、就寝時の照明は10lx以下がベター。これはモノの形や色が一応判別できる程度の明るさです。寝室が50lx(本がなんとか読める程度)より明るいと、熟睡できないことも実験でわかっています。
色温度で部屋の雰囲気が変わる
照明などの光には、赤味を帯びたものや青味を帯びたものがありますが、光の色を物理的・客観的な数値で表したのが色温度で、ケルビン(K)という単位で表されます。たとえば、晴天の昼間の光は5800~6000Kで白に近く見えますが、色温度が7000K以上になると青味を帯び始め、逆に日の出直後や日没前の光は色温度が低く、2300K以下では赤味を帯び始めます。
光色が与える心理的な影響は大きく、同じルクスでも、蛍光灯の青味を帯びた光は覚醒作用が強く、白熱灯の赤味を帯びた光色は気持ちを落ち着かせる作用があります。ちなみにヨーロッパの都市の照明はほとんどが白熱灯。夜は暗い中で落ち着くのが自然、というのがヨーロッパ流の考え方です。日本の住宅は少し明るすぎるといっても間違いではないようです。
蛍光ランプのタイプと省エネ効果
照明器具は家庭の電力使用量の約15%を占め、省エネの観点からは蛍光ランプがおすすめです。たとえば54wの白熱電球を、明るさが同等の13~15wの電球形蛍光ランプに替えると電気代は約1/4に節約できるのです。寿命も長く、白熱灯の1000時間に対して、一般的な管状の蛍光ランプでは6000~12000時間。主な蛍光ランプは以下の3タイプがあります。
- 点灯管方式(FL)=スイッチを入れると点灯管(グローランプ)が放電し、安定器からランプに電流が流れ、点灯する。点灯まで3秒程度必要。1回の点灯ごとに約30分から1時間寿命が縮まるため、3タイプ中もっとも寿命が短い。
- ラピッドスタート方式(FLR)=点灯管がなく、磁気漏れ変圧器で始動し、即時に点灯するが、ランプは専用のものが必要。
- インバータ式(FHF)=点灯管がなく、交流電源をインバータで高周波に変換、即時に点灯する。チラつきも少なく、器具からの騒音が小さい。一番寿命も長い。
新築住宅の照明にはインバータ式がおすすめですが、従来型の点灯管方式でも、マイコンチップ内蔵の「デジタル点灯管」に交換すると、蛍光ランプの寿命を最大約30倍も長持ちさせることができます。
青だけではない蛍光ランプの光
最近では蛍光ランプの光色も多様化し、目的に合わせて選べるようになりました。その光色はN・D・L・Wという記号で判別できます。
- N=昼白色 (6500K)
食卓の料理や花が自然な色に見え、リビングやダイニングに向く。 - D=昼光色 (5000K)
白さを際立たせ、勉強部屋や書斎向き。 - W=白色 (4200K)
自然な美しさを演出しながら、さわやかな印象を与える。 - L=電球色 (2800K)
落ち着いた雰囲気が魅力。和室や寝室の照明に最適。 - WW=暖色 (3500K)
LとWの中間的な色合い。
また、NやDの前にEX-が着く「3波長域発光形」は、青緑赤3色の蛍光体を組み合わせて、明るく、しかも肌色や赤色のものが自然で鮮やかに見えることから、急速に普及している蛍光ランプです。
照明の光色を変えると、部屋の雰囲気も変わります。照明の交換を交換するだけで活発なコミュニケーションの雰囲気を感じることができると思います。
まず照明計画を立てる
部屋の雰囲気は照明で決まるといっても言い過ぎではありません。間接照明を効果的に使えば、狭い室内にも立体感が生まれ、趣のある空間を実現することができます。でも、戸建て住宅の場合、配線工事が終わってから照明計画を立てたのでは、設置位置や数に制約が生まれたり、予算をオーバーしたりと思い通りの照明が実現できません。照明計画はインテリアプランの基本です。じっくりと検討し、設計図面に盛り込むようにしたいものです。

